石田衣良の「アキハバラ@DEEP」、岩井三四二の「琉球は夢にて候」 [読書]
先週はほぼ一週間出張だったため本が2冊読めました。
最初は石田衣良の「アキハバラ@DEEP」。数年前に出た本ですが、なかなか読む機会がなくて文庫本になってようやく手が出た本。ハリウッド映画を頂点に、巨大悪に立ち向かう弱者の活躍を描いたものは数多くありますが、本書のような展開はいかにも日本的。全体として緩~い感じ。主人公たちが立ち向かう敵=悪の存在も普通に考えればかなりあくどいとは思いますが、究極の悪とは言いがたいものがある。昨年の通り魔事件で秋葉原らしい自由さがなくなったとの話もありますが、世界に誇れるものがなくなった昨今の日本で秋葉原は残り少ない日本的なるものの発信地。ここに描かれたアキハバラのような雰囲気が早く戻ってくればよいと思いつつ、ほのぼのした展開の本書、楽しく読めました。
岩井三四二の「琉球は夢にて候」は、出雲の戦国大名尼子氏の残党が戦国の世を渡って大名になった亀井氏の物語。「琉球」は主人公である亀井新十郎が豊臣秀吉から「琉球守」の官途を得たことに由来します。もっともこれは空手形。当時の琉球は独立国であり、琉球守といった官途は当時の日本には存在しないもの。なぜ琉球なのか?は本書をお読みいただくとして、戦国時代の土豪に等しかったものたちが大きな歴史のうねりに翻弄されながらも大名にまで出世していくプロセスが面白い。運もあれば才覚も必要だった戦国時代。本書を読むと信長や秀吉、家康ようの天下人は別格だったと思います。亀井氏は江戸時代、4万石の大名として明治まで続きますが、小大名とはいえ家を興すということがいかに大変だったか・・・関心しつつ俺にはむりかも、と思った次第です。
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