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岩井三四二の「十楽の夢」 [読書]

「十楽」は「じゅうらく」と読みます。「十楽」は仏説で、極楽往生する者がうける十の快楽をさすというもの。聖衆来迎楽・・・臨終に際してもろもろの菩薩が迎えに来てくれること、第二に蓮華初開楽・・・浄土に生まれ変わった者が、浄土の荘厳なさまをみて感激すること・・・要は、極楽浄土とはかくあるべきということらしい。主人公は伊勢長島の商人。戦国時代、織田信長が台頭しつつある中、伊勢の桑名は、誰にも支配されることのない自由な湊として繁栄していた→十楽の湊である、ということで、本書のタイトルの所以になっています。

話は伊勢長島の一向一揆です。教科書的には、一向宗vs信長の一連の流れの出来事の一つですが、(石山本願寺との決戦にもつながっていきますが)歴史に埋もれている下々の人々の歴史、生き様を描くことでは定評のある(少なくとも私はそう思っていますが)岩井さんの筆にかかると、もう大河ドラマです。
一向宗門徒であることに誇りを持ち、教えに忠実な人々を利用しようとする教団、天下布武の名の下、逆らうもの全てを抹殺しようとする信長・・・歴史の大海原で翻弄される名も無き人々・・・なかなか読ませました。お勧めの一冊です。

十楽の夢 (文春文庫)

十楽の夢 (文春文庫)

  • 作者: 岩井 三四二
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2007/09/04
  • メディア: 文庫

 


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