岩井三四二の「難儀でござる」

「竹千代を盗め」に続いて2冊目のチャレンジです。本書は短編集で、実はタイトルの「難儀でござる」という作品は収録されておりません。時は戦国時代、信長が台頭し武田家が滅亡する前後の頃に生きた武士や公家、坊主らが主人公の話が収録されており、そのすべてが「難儀な話」、ということらしいです。

いずれの作品も完全なフィクションではなく、なんらかの文献をもとに作者がそのイメージをふくらませた作品のようで、決して有名人ではない歴史では無名の武士や公家が信長や武田勝頼などの権力者をどんな風にみていたのか？現代の感覚でいえば鳩山総理をみる感覚に近いのでしょうか、その感覚が妙にリアルで共感できます。この人の作品は市井の人々の感じを表現するのがうまいと思います。地味な作品が多いようですが、すっかりファンになってしまいました。

 

難儀でござる (光文社時代小説文庫)

• 作者: 岩井 三四二
• 出版社/メーカー: 光文社
• 発売日: 2009/03/12
• メディア: 文庫

 

 

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