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雫井脩介の「白銀を踏み荒らせ」 [読書]

古くは札幌オリンピック、そして長野オリンピック、そして世界選手権。スキーのノルディック種目やジャンプでの日本チームの活躍はご存知の方も多いと思います。そういう栄光の歴史から、最近の日本チームの成績は今ひとつといった観がありますが、オリンピックやとりわけ世界選手権の上位にランキングされるということは大変なことらしい。先日、スポーツニュースを観ていたらあの葛西紀明選手がいまだにナショナルチームの一角を占めるとか。正直、驚きました。世界では若手の台頭が著しいといわれている中、36歳での挑戦、頭が下がります(→葛西選手のブログhttp://ameblo.jp/nori66nori/

スキーの本場といえばヨーロッパ。特にアルペン競技とノルディックのチャンピオンは日本では想像できないくらいの大スターだそうです。したがって、アジアの日本がノルディックなんかで優勝するなんてことはヨーロッパの人は(特にスキー連盟の人は)考えられないことらしい。日本人選手が活躍するたびにルールが変わるのはそのせいなんだそうです。日本人のフツーの感覚でいえばありえないことですが、それだけプライドが許さないらしい。

本書は以上のような背景で起こった殺人事件のお話です。アメリカ国籍の黒人と日本人との間に生まれたアルペンのスキーヤーが富良野で開かれた世界選手権で転倒、死亡、あと一歩で日本人初(彼は日本国籍)の優勝を逃したシーンから物語は始まります。当初は単なる競技中の不幸な出来事ということでしたが、何やら人為的に転倒事故が演出されたらしい、という疑惑が浮上します。怪しげな団体の影も見え隠れする中で、元日本柔道チームのメンタルコーチ、望月篠子が事件の解明に乗り出します。

雫井さんの割と初期の作品だと思います。途中、ド派手なアクションや謎の団体「パル」の存在等、007的な展開になりますが、スキー界の内幕などとても面白く読ませていただきました。主人公望月篠子は実は2度目の登場。彼女の最初の登場作品も読んでみたいと思いました。お勧めです。

白銀を踏み荒らせ (幻冬舎文庫)

白銀を踏み荒らせ (幻冬舎文庫)

  • 作者: 雫井 脩介
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2005/04
  • メディア: 文庫


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