雫井脩介の「火の粉」 [読書]
今日、テレビ朝日の土曜サスペンス劇場の再放送(関東エリア)で、雫井脩介の「火の粉」が放送されていました。かなり読み応えのある作品だけに、2時間でどれだけ原作の持ち味を出しているのか興味があり、つい見てしまいました。で、その出来はどうだったかというと、謎解きの部分に焦点をあてたコンパクトな仕上がり。えもいわれぬ恐怖、読んでいて締め付けられるような感じが原作にはありますが(この締め付けられる感じが嫌いで読むのをやめた、という友人がおりました)、テレビではそこまで描くには無理があったのでしょう。原作には寝たきりの老人の介護や嫁姑の関係なども日常生活の中のシーンとして描かれています。さまざまな問題を抱えながら生活している家族の日常を伏線に、隣人によってもたらされる恐怖を見事に描ききっている作品だと思います。雫井脩介の作品としては、その他に「虚貌」、「犯人に告ぐ」、新作では「クローズド・ノート」などがありますが、いずれも読ませます。久々に新作が出るのが楽しみな作家の一人です。
コメント 0